快適ネットLIFEオフィシャルブログ

卓越した空間プロデューサー・千利休に学べ

2011年03月12日

・そもそも茶の世界は、茶をたしなむだけではなく、茶器や飾られた花、掛け軸、茶道具なども愛で、茶がたてられる空間全体を味わう総合芸術だ。日本人らしい気使いが要所要所に必要になってくる。利休はさらに光のメリハリ、明るさによる色の見え方など、細かい演出を加えることで、戦国の世に、独特の茶室という異質の空間を作り上げた。極上の空間プロデューサーといえるだろう。彼の才能は、茶室のなかだけでなく、イベントでも遺憾なく発揮されている。歴史に残る豊臣秀吉主催の北野大茶湯では、名誉ある茶頭として仕切っている様子がうかがえる。しかしそれ以上に、千利休独自の茶会に、利休の手腕が遺憾なく発揮されているのだ。例えば『南方録』という利休の秘伝書として伝わってきた古伝書のなかに「半燈会」とよばれる茶会が記されている。ある年の7月7日、七夕の節句にあたり、客を4名迎えいれた。1名は近藤信尹という公卿。当然、武将よりもたしなみを心得た存在だ。花には「夕顔」、香銘には「薄暮」といった、『源氏物語』に由来するものが準備され、七夕にちなんだ道具もそろえられた。特筆すべきは、光の趣向だ。旧暦の7月7日は、新暦の8月18日前後。このころの午後4時は十分に明るい。しかし、利休は7ツ半(午後5時)には石灯籠に火を灯したのだという。ときには神聖な意味を持つ火が、お点前が進むとともに薄暮のなかで次第に光を増していく。決して派手な演出ではない。心静かに茶をたしなむ場にふさわしく、穏やかでドラマチックな火の演出を、利休は巧みに茶会に採り入れていたのだ。空間プロデューサーとしての利休は、決して目立つ演出はしない。さりげなく、しかし確実に、その場にいる人の心を動かす手法を採っている。これは、実はとても高度なテクニックなのだ。さまざまな演出や情報が入り乱れている現代で、人の心を動かすイベントを行いたいなら、利休の演出法を見習ってみるといい。「趣味がいいですね」「久しぶりに感動を覚えました」そんな声が聞こえてくるようになるかもしれない。